VPSでサーバー構築をすると決めたら、次はもう一段掘り下げて、
- どのOSを使うべきか?
- スペックはどのくらい必要か?
- どのVPSサービスを使うか?
を検討することになると思います。
今回は「スペックはどのくらい必要か?」について考えてみたいと思います。
価格に直結するスペック
VPSを申し込むときに一番悩むのがスペックかもしれません。
基本的にはどのVPSも、メモリとストレージの容量とCPUのコア数によって値段が決まってきます。サービスによって異なりますが、一番価格の安いエントリレベルのプランでメモリが512MB、ストレージが20GB、CPUが1コアくらいのものが主流です。
中間価格帯のプランならメモリが2GB、ストレージが100GB、CPUが2コアといった具合です。
最上位のプランをみれば、メモリが64GBなどといったバケモノ級の仮想サーバーを手に入れることもできますが、月々の利用料は数万円になってしまいます。
スペックは高ければ高いほどいいのは当たり前ですが、スペックに比例してお値段も高くなります。
かといって一番安いものでもいいのかというとそうともいえません。
スペックが低すぎるとサーバー全体の動作が遅くなり、正常に動作しないこともあります。なにより遅すぎるサーバーは使っていてストレスがたまります。使っている本人がストレスを感じるのですから、そんなサーバーで公開されているウェブサイトにアクセスしてくれたユーザーもストレスを感じることでしょう。
サーバーを使用する用途によって、スペックと価格のつり合いがとれたところを選ぶのがいいでしょう。
とりあえずメモリ1GBからはじめよう
スペックをどうしたらいいか決めかねている方は、とりあえずメモリ1GBのプランから始めるのがいいかなと思います。
こんな方におすすめ
- とりあえずスモールスタートを切りたい方
- WordPressを使ってウェブサイトを立ち上げたい方
- まだ具体的な用途は決まっていないけど、サーバーを構築しながら勉強もしたい方
WordPressなら最初はこれくらいで十分
VPSの利用目的として多いのは、ウェブサイトの公開ではないかと思います。
これからサイトを立ち上げようというのであれば、まずはメモリ1GBあれば十分ではないかと思います。一つのVPSで複数のウェブサイトを立ち上げることもできます。
僕自身も1GBメモリのVPSを使っています。
アクセスがそこまで多くないサイトなら、VPS一つで複数のサイトを走らせることができます。
サイトの数が増えてきたり、アクセスが増えてきて負荷が上がってきたら、そのタイミングでプラン変更したりサーバーを移転することもできます。
メモリをたくさん使うアプリ
一方で、これでもかというくらいメモリを食うシステムもあります。
一般的な傾向ですが、Javaベースのシステムはメモリを食います。
Javaというと企業向けシステムというイメージがあります。実際、そういうシステムはヘビー級のミドルウェアとヘビー級のOracleデータベースをコンボで使うケースが多く、サーバーが複数台構成になりメモリもギガバイト単位で使っていきます。
とはいえ、Javaがダメかといえばそんなこともありません。僕自身VPSでJavaを使っています。Spring Bootといわれる軽量サーバーを作るためのフレームワークで作ったWebアプリを実行しています。そのVPSも1GBメモリですが問題なく使えています。この辺はシステムの規模によって変わると思います。
512MBプランは慎重に
たいていのVPSサービスは512MBプランも用意していて、料金的にも手軽に始まられます。
しかし僕はオススメしません。
なぜかというと、やはりメモリ512MBというのは非力すぎると思うのです。
VPSのよくある用途であるウェブサイトの公開を考えてみましょう。この場合、OSを起動してその上でデータベースとWebサーバーを起動します。すると512MBのメモリはもういっぱいです。
メモリを使い切ってしまうと、いつ何をしてももっさりした状態が続きます。
コンピュータはメモリを使い切ってしまってもすぐに動作が停止するわけではありません。メモリがいっぱいになると、メモリの中にある古いデータをスワップ領域というところへ移動させ、メモリに空き領域を作ります。
この仕組みは一時的にメモリが不足したときのためのものであり、慢性的にメモリが不足する状態で使い続けるのは好ましくありません。
そしてなにより、スワップ領域はストレージ領域を使うため、非常に遅いのです。パソコンでアプリをたくさん開くと、動作がもっさりすることがあるでしょう。あれもスワップが発生しているからです。そのときにコンピュータに耳を当てると、ハードディスクがガリガリと音を立てているのが聞こえるかもしれません(SSDは無音ですが)。メモリからスワップ領域にデータを書き出したり、逆にスワップ領域からメモリにデータを読み込んだりするのは非常に遅く、そこが原因でシステム全体が遅くなってしまうのです。
そんなわけで、僕はまだ用途が決まっていない場合でもメモリ1GBのプランから始めることをオススメします。
SSDはかなり重要
最近はSSDの対応したプランも多くあります。
SSDプランは、HDDプランに比べると少し料金が高めか、HDDプランよりも容量が少なめに設定されています。
僕はSSDプランを強くオススメします。
よほどデータ容量が必要なケースでない限りはSSD一択だと思います。
なぜなら、僕自身がHDDプランからSSDのプランのVPSに切り替えて、劇的なパフォーマンスの向上があったからです。新しいサーバーに移行した時は感動しました。
また、自分のノートパソコンの話になりますが、はじめてHDDからSSDのPCに買い換えた時、書き込みも読み込みも別次元の速さで、非常に感動したのです。CPUもメモリ容量も前とは変わらないにも関わらず、HDDからSSDに変わっただけで爆速なのです。
「現代のコンピュータはディスクの読み書きが最大のボトルネックだな」としみじみと思ったものです。
ちょっとしたパフォーマンスの違いならば僕もそこまで意識しないですし、安さを取るでしょう。しかし、多少コストがかかってもSSDの速さを取る価値があると思っています。もっさり感がずっと続くと、そのサーバーを使うことがストレスになるのです。
たとえば、ブログの記事を書くときも、書いた内容をプレビューするだけでももっさり。
違う記事に書いた内容を参照するのももっさり。
設定を見直すだけなのにもっさり。
もっさりの連続でした。
だんだんサイトを作るのも億劫になってきます。これは作る側だけでなくアクセスしてくれた方も同じように感じることでしょう。
ですので、ディスク容量がそこまで必要ないというのであれば、SSDを選択することを強くオススメします。ウェブサイトの規模にもよりますが、大量の画像や動画を配信するサイトでなければ、30-50GBあれば十分かと考えます。
参考までに、僕のVPSは50GBのプランでウェブサイトや趣味のアプリを実行していますが、使用済みの容量は6-7Gとまだまだ余裕があります。
スワップが発生した時にもSSDのメリット感じられます。前項のメモリのところでも触れましたが、サーバーは物理メモリがいっぱいになるとスワップ領域を使い始めます。SSDのサーバーであれば、スワップ領域はSSDなので、HDDよりも圧倒的に速くなります。これもSSDでよかったとメリットを感じられるときです。
あとから変更できるサービスも
VPSのサービスによっては、サーバーのプランを後から変更できるところもあります。
たとえば、1GBプランで始めたけど、だんだん容量が足りなくなってきたから 2GBプランに変更とか、逆にプランを下げることもできます。
プランが気軽に変更できるのであれば、そこまで考え込まずにスモールスタートもできますよね。
とはいえ、プラン変更できないサービスでもそんなに身構えることはありません。WordPressなどであれば、データを丸ごと別のサーバーに移行することもできます。サイトのサーバー移転は僕自身もやってみたのですが、驚くほどスムーズにできました。ですので、最初はあまり考えすぎず、スモールスターができるプランを申し込むのがいいのかなと思います。
まとめ
最後に内容を3行でまとめてみましょう。
VPSプランの決め方
- WordPressサイトの立ち上げやサーバーの勉強には1GBメモリのプランを推奨
- 512MBプランはやや力不足で推奨しない
- SSDプランを強く推奨