概要
日本ではTOEICによる英語試験が一般的ですが、ヨーロッパではCEFRという外国語学習者の習熟レベルを測るガイドラインがあります。
CEFRは、習熟度に応じてA1(初学者)からC2(マスター)までの6つのレベルに分け、「〜できる(can-do)」という肯定表現で知識やスキルを説明しています。
本ページでは、TOEIC試験を開発しているアメリカの非営利団体ETSが発表しているTOEICスコアとCEFRレベルの関連性、それぞれのレベルにおけるできることと弱点を整理してあります。
TOEICのスコアと英語能力の目安
下の表は、TOEIC試験の開発をしているETSから発表されている、TOEICスコアとCEFRレベルとの対照表です。
引用(英語): www.etsglobal.org
CEFRは、B2レベル(TOEICスコア785点)を、多くの高等教育機関や企業の実務で要求される最低点だとしています。
TOEICの受験する目的は人それぞれです。転職や就職のためという方も多く、そういった方はその企業が求めるスコア(例: 応募要件が700点以上など)が目標となるでしょう。しかし外国での就学や、国際企業での就職を希望される場合、785点というのが一つの目指すべきスコアになるでしょう。
とはいえ語学学習は小さな継続が大切です。ぜひ以下の表をみて、今の自分のレベルから、長所と短所を把握し、そこから弱点を克服するのが重要して、最終的に目指すべきゴールにたどり着けるようにしましょう。
TOEICスコアごとのCEFRのレベルの説明
TOEICスコアとCEFRレベルの対照表に基づく各レベルの説明は以下の通りです。
TOEIC 120〜225点 - CEFR A1レベル
- 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。
- 自分や他人を紹介することができ、どこに住んでいるか、誰と知り合いか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりできる
- もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助け船を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる。
TOEIC 225〜550点 - CEFR A2レベル
- ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる。
- 簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。
- 自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。
TOEIC 550〜785点 - CEFR B1レベル
- 仕事、学校、娯楽で普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば主要点を理解できる。
- その言葉が話されている地域を旅行しているときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。
- 身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のある文を作ることができる。
- 経験、出来事、夢、希望、野心を説明し、意見や計画の理由、説明を短く述べることができる。
TOEIC 785〜945点 - CEFR B2レベル
- 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑な文の主要な内容を理解できる。
- お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である。
- かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細な文を作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できる。
TOEIC 945点〜 - CEFR C1レベル
- いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文を理解することができ、含意を把握できる。
- 言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。
- 社会的、学問的、職業上の目的に応じた、柔軟な、しかも効果的な言葉遣いができる。
- 複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文を作ることができる。
- その際、文を構成する字句や接続表現、結束表現の用法をマスターしていることがうかがえる。
引用: Wikipedia
リスニングスコア別の能力と弱点
TOEICリスニングスコアごとの一般的な傾向は以下の通りです。
リスニング200点前後
できること
短い会話や写真の説明
- 単文の短い説明を聞いて、大まかな意味を理解できる
- 簡単な語彙で、理解するべき内容が少ない場合、内容を理解できる
長めの口述文
- 簡単な語彙で、要点が繰り返し述べられれば、大まかな意味、目的、文脈を理解できるときがある
- 語彙が平易で、必要な情報が文頭または文末にある場合は内容を理解できる
弱点
短い会話や写真の説明
- 間接表現が含まれると理解できない
- 要点と関係のない内容が含まれていなくても、大まかな意味を理解できない
- 難しめの語彙や複雑な文法が含まれると内容を理解できない
- 否定構文を含んだ文章を理解できない
長めの口述文
- 複数の情報をつなぎ合わせないと要点が把握できない場合や、難しめの語彙が使われると内容を理解できない
- 要点が文章の真ん中にあると内容を理解できない
- 表現の言い換えや、複雑な文法的要素があると内容を理解できない
リスニング300点前後
できること
短い会話や写真の説明
- 難しい語彙でなければ内容を推し量ることができる
- 中級レベルの語彙が含まれた会話の内容を理解できる
長めの口述文
- 要点が繰り返し述べられれば大まかな意味を理解できる
- 要点が文頭または文末にあれば内容を理解できる
- 多少の言い換え表現に対応することができる
弱点
短い会話や写真の説明
- 会話の返答に間接的な表現や予測しづらい内容、難しい語彙が含まれていると理解できない
- 複雑な文法や難しい語彙があると内容を理解できない
- 否定構文が含まれた内容を正確に理解できないことが多い
長めの口述文
- 難しい語彙が使われると内容を理解できない
- 複数の情報をつなぎ合わせて要点を把握する問題に対応できない
- 異なる語彙で言い換えられた情報や、文法的に複雑な内容に対応できない
- 複雑な構文、難しい語彙、否定構文が含まれていても詳細を理解できる
リスニング400点前後
できること
- 幅広い語彙が含まれていて、返答に間接表現、予測が難しい場合でも会話の内容を推量できる
- 口述文に幅広い語彙が含まれていても大まかな意味を把握できる
- 内容が反復されなくても理解できる
- 複数の情報をつなぎ合わせて要点を理解する必要がある文章にも対応できる
- 複雑な構文、難しい語彙、否定構文が含まれていても詳細を理解できる
弱点
- このレベルの受験者は一般的でない文法や語彙以外にはほぼ対応することができる
引用(英語): www.etsglobal.org
リスニングスコア別の能力と弱点
リーディングスコアごとの一般的な傾向は以下の通りです。
リーディング150点まで
できること
- 短い文章であれば、必要な情報と一致する単語が文章内で使われている場合、正解を選ぶことができる
- 簡単な語彙と一般的なフレーズを理解できる
- 短い文章であれば、基本的な文法のルールに基づいた文法的な構造を理解することができる
弱点
- 文章の内容を推量することができない
- 言い換え表現に対応できず、質問や回答に一致した語句が使われていないと正解を選ぶことができない
- 単純な文章であっても複数の情報をつなぎ合わせて理解することができない
- 限定的な語彙
- 難しい語彙が含まれていたり、文中から情報をつなぎ合わせて理解する必要がある場合、単純な文法構造にも対応できない
リーディング250点まで
できること
- 短い文章から情報を推量することができる
- 質問や回答に一致した語句が含まれていれば正解を選ぶことができる
- 多少の言い換え表現にも対応できる
- 二つくらいまでの文章から情報をつなぎ合わせて要点を把握できる場合がある
- 中級レベルの語彙にある程度対応できる
- 難しい語彙が含まれていたり、文中から情報をつなぎ合わせて理解する必要がある場合あっても、文法的に正しい選択肢を選ぶことができる
弱点
- 言い換え表現や複数の文章から内容を把握して推量できない
- 難しい語彙や言い換え表現が含まれるとほとんど対応できない
- 二つの文章から情報をつなぎ合わせることができない
- 難しい語彙や熟語、慣用句に対応できない
- 意味が似ている単語の違いに対応できない
- あまり使われない難しい文法構造に対応できない
リーディング350点まで
できること
- 文章の大意を理解でき、詳細を推量することができる
- 言い換え表現にも対応して意味を把握できる
- 難しい語彙が含まれていても情報をつなぎ合わせて把握できる
- 中級レベルの語彙力
- 文脈によってはさらに難しい語彙にも対応できる
- 法則性のある文法構造を理解している
- 複雑で難しい、あまり使われない文法にも対応できる
弱点
- 長い文章から情報をつなぎ合わせて把握できない、またはしない
- 難しい語彙や、一般的でない語彙、慣用句に対応できないこともある
- 似通った単語の明確な違いがわからないもある
リーディング450点まで
できること
- 文章の大意を理解でき、詳細を推量することができる
- 言い換え表現にも対応して意味を把握できる
- 文章全体から要点をつなぎ合わせて内容を把握できる
- 幅広いの語彙力
- 似通った単語の違いを理解している
- 法則性のある文法構造を理解している
- 複雑で難しい、あまり使われない文法構造にも対応できる
弱点
- このレベルの受験者は、極めて理解しづらい内容や難しい語彙でなければ対応できる
引用(英語): www.etsglobal.org