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タイで犬に咬まれた経験、対処策と予防策

タイに行くと、犬や猫が非常に人なつっこくてびっくりしいますよね。

屋外のレストランで食事をしていたらネコがニャーと近づいてきたり、ビーチでデッキチェアでくつろいでいたら、犬が下の穴を掘ってその下に涼んだりというのは、日本ではなかなか見られない光景です。

そんな微笑ましい光景の一方で、タイでは今でも狂犬病で命を落とす犬がいます。日本では昭和32年に根絶していますが、タイでは2018年にも十数名の人が命を落としています。絶対数としては多くないと思うかもしれませんが、狂犬病は発症すると致死率が100%という恐ろしい病気です。

実際に犬に咬まれた経験

かくいう僕も、タイで犬に手を咬まれた経験があります。家の近所で飼い犬と散歩していたら、たまたま通りかかった野良犬とケンカになってしまい、犬同士を引き離そうと間に入った時に野良犬の方に咬まれてしまいました。

傷もかなり深く出血量も多かったため、落ち着いてからやはり狂犬病のことが頭をよぎりました。

もっとも、僕が犬に咬まれたのは普通の住宅街の中で、たとえ野良犬であっても99.9%以上狂犬病にはかかっていないでしょう。ですが、たとえ0.1%であっても、万が一野良犬が狂犬病に感染して潜伏期間中だったりしたら、僕は100%の確率で命を落とします。

確率に基づいて考えれば「まず大丈夫だろう」と思う楽観的姿勢。

万が一の場合は100%の致死率という恐怖。

そして、面倒だしお金もかかるけど、病院に行ってワクチンを打てば不安から解放されるという安心感。

これらを天秤にかけた結果、やはり病院に行ってワクチンを接種することに決めました。

狂犬病のワクチンには2種類ある

狂犬病のワクチンには2種類あり、一つは予防接種をするワクチンで、もう一つが咬まれてしまった後に接種する暴露後ワクチンと呼ばれるものです。

タイでは、予防接種はわりと簡単に受けられるそうなのですが、暴露後ワクチンとなると地元のクリニックなどでは在庫を持っていないことも多いようです。

妻に依頼したところ、やはり近場のクリニックではワクチンがないので、大病院に行くように勧められたそうです。

僕はチェンマイに住んでいるので、外国人にも知名度が高いチェンマイラム病院へ行きました。

外国人にとって安心なのは大病院

チェンマイラム病院へいくと、狂犬病の暴露後ワクチンの用意がありました。

ワクチンは2ヶ月にわたって6回摂取する必要があり、料金は合計で24000バーツくらいでした。当時のレートで換算すると約75000円と相当な高額です。この病院は、ホテルのような設備に最先端の医療機器に加え、日本語や英語ができるスタッフがおり、料金も欧米水準でかかります。タイは富裕層向けの医療ビザというカテゴリを用意していますが、そういう人を受け入れるのは、まさにこういう病院なんだろうなという感じです。

このように僕には分不相応な病院ですが、背に腹は変えられませんし、他の病院に行っても同じような料金だろうと思ったので決断しました。

僕はこの時、あと2ヶ月以上タイに滞在することが決まっていたのでここで全6回の接種を終わらせました。もし途中までしかできない場合、日本でも暴露後ワクチンは摂取できるので、必ず最後まで摂取した方がいいと思いますが、途中で医療機関が変わる場合どうなるのかなど、僕は未経験なのでお伝えできません。ご自身で医療機関にお問い合わせください。

クレジットカード付帯の保険が使えた!

日本に帰国後に、自分の持っていたクレジットカードに海外旅行保険が付帯していたことに気づき、カード会社の保険窓口に問い合わせてみました。事情を説明したところ、保険が適用されるとのことでした。

故意とまではいいませんが、自分の落ち度で犬に咬まれてしまったので、全額保険が適用されて非常に嬉しかったです。あと、病院からもらったレシートや処置内容が説明された紙を全部捨てずに持っていたので助かりました!

あとは申請用紙をプリントして、受診するに至った経緯を書いて送ったら、しばらくしてお金が振り込まれました。

実は、保険会社の方と電話で話していたとき、

保険会社「どの病院を利用しましたか?」
僕「チェンマイラムです」
保険会社「あ、それならスムーズに行くと思います」

という会話がありました。保険会社としては、町医者がタイ語で書いた書類を精査するよりは、チェンマイラムが発行する英語で統一したフォーマットの書類の方が扱いやすいという意味だと感じました。

あと、カード付帯の海外旅行保険は、海外での滞在期間が3ヶ月までとか期間が決められています。3ヶ月を超えてくると、海外旅行とは見なされず保険の対象外となるので、ロングステイをされる方はこの点も注意が必要ですね。

適切な処置に勝るものなし

結果、安心して医療を受けられる病院で処置してもらって、費用は保険でカバーしてもらえたので非常に助かりました。

家の犬もケンカした野良犬も、その後ずっと元気に暮らしていたので、僕の杞憂に終わったのですが、それはやはり結果論です。かなり低い可能性であっても、最悪の結果になってしまう恐れがあり、それを現実的に阻止できる手立てがあるのに放置するのは、僕にはできませんでした。

防衛策

予防ワクチンを接種する

前述したように、狂犬病のワクチンは予防接種と暴露後接種というものがあります。予防接種の方が簡単かつ安価に利用できるそうなので、ジャングルや狂犬病の懸念がある地域への旅行を予定している方は、外務省ホームページ(けっこう参考になります)などを参考に情報を収集して予防接種をしっかりと打つべきでしょう。

犬同士のケンカに割って入らない

これは、大半の方は大丈夫だと思いますが…犬同士がケンカしているときは間に入ってはいけません。僕の場合、一方が飼い犬だったためについ自分が間に入ってしまいましたが、野良犬同士のケンカは放っておきましょう。

特に興奮状態の犬は飼い主と敵の見境もついていませんし、犬種にもよりますが、犬の方が人間よりも身体能力は高いことが多いので、危険な状態になってしまったら手を出すのは得策ではありません。

タイ原産の犬。顔は怖いが性格はかわいい

水を掛ける

もし近くにホースやバケツがあるならば、冷たい水を浴びせるのは効果的です。

長い木の棒などで邪魔する

近くに長い木の棒などがあれば、それを使って犬と犬の間の地面を叩きましょう。それで一度間合いが空き、我に帰ることがあります。

それでも収まらないときは放置

近くに水や棒がなく、ケンカが収まらないときはもう放置するしかありません。僕のように自分が咬まれてしまって2ヶ月に渡ってワクチンを打ちに病院に通うのも大変ですので、自分の安全を第一に考えましょう。

手を差し出さない

犬の扱いに慣れている方には釈迦に説法な話が続いて恐縮ですが…これはケンカしている犬に限らず、野良犬には、どんなに懐いてきても手を差し出さない方が無難です。

僕は、知り合いの飼い犬であっても初対面の犬には何もしないようにしています。過去にいろいろとあったので、何もしないことを学習しました(^_^) まあ愛玩犬とかならばいいですが、けっこう迫力のある犬も多いので注意しましょう。

適切な対策をして楽しい旅行を 

以上、タイの狂犬病の話と、犬に咬まれた場合の対処、また犬に咬まれないための対処策をお伝えしました。狂犬病は確かに恐ろしい病気ですが、昨年(2018年)、タイで狂犬病で命を落とした人は十数人だそうです。

これは犬と触れ合う機会やタイ人や訪問者の数を考えればかなり低い数字です。また、タイ政府は2020年までの根絶を目指しているそうです。政府の対策がどうなるかはまだわかりませんが、感染者の絶対数がかなり低いのも事実ですので、過敏になりすぎずタイ旅行を満喫しましょう。

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