日本人にとってはLもRも「ラ行」の発音として捉えられるために区別が難しく、なかなかうまく発音ができないと困っている人も多いかと思います。
今回は今までとは違ったアプローチから英語の発音を考えてみることで、RとLの発音の問題を解決するお役に立てればと思います。
中国語のピンインからアプローチする
今回紹介するのは、中国語を利用してLとRの発音にアプローチする方法です。
中国語を学習されたことがある方は、「ピンイン」を学習されたと思います。
「ピンイン」とは中国語を発音するための発音記号でアルファベットで表記されます。
僕は以前、少しだけ中国語をかじったことがあり、そこで本場中国から来た留学生の先生からみっちりと中国語の発音の基礎を身につける機会がありました。
英語の発音の話をするのになぜ中国語の話を始めるのかと不思議に思われたかもしれませんが、少しの間お付き合いいただければと思います。
中国語もまた発音が難しい言語だと言われていますが、特に日本人には耳慣れない子音と母音に加え、声調(声の高さ、低さ)がさらに難しくしています。
しかしここではそれらの難しい話はしません、ただ少し子音の話をするだけですのでご安心ください。
さてピンインの面白いところは、子音をアルファベット順ではなく、発声するときの口の形によってグループ分けをしていることです。
ではどのようにグループ分けをしているのか?以下の図をご覧ください。
グループ | 子音 |
1 | b p m f |
2 | d t n l |
3 | g k h |
4 | z c s |
5 | zh ch sh r |
6 | j q x |
細かいことは置いておいて、LとRがどこにあるか見てみましょう。
Lは2番目のグループにありますね。そして同じグループにはD、T、Nという子音が並んでいます。
つまり、Lを発音するときの口の形はD、T、Nと同じなのです。このことを英語に応用していきます。
Lの発音
ここでいくつか、同じ子音グループを使った英単語を集めてみました。
- date
- dance
- time
- test
- night
- name
これらの単語をゆっくりと発音してみてください。
発音し終えたら、D、T、Lの子音を発音したときの自分の口の形と舌の位置を確認してみてください。
どうでしょう?
口は少しだけ横に開き、舌は上の前歯のあたりに当たっていますよね?
そうなんです。実はこれが、DTNLグループの子音の特徴なのです。
Dであれば、そこから息を強く吐き出さずに発音をします。date、dance、どうでしょう?
Tであれば、同じ口の形から強く少し息を吐き出しながら発音します。time、test、ですよね?
Nであれば、やはり同じ口の形から、息を少し鼻に通すような感じで発音します。night、name、どうでしょう?
そして最後にLのグループをいってみましょうか?
発音するときは、D・T・Nの単語を発音したときの同じ口の形から始めてくださいね。
Late、Light、Lime、Left、Loft
どうでしょう?
Rは巻き舌、Lを舌を添えるだけ
なんていいますが、自然とそのような口の形が作れ、それっぽい発音ができたのではないでしょうか?
Rの発音
では続いてRの発音にいきましょう。
Rの子音を上の表で見ると、5番目のグループに入っていて、他には
zh ch sh
という子音が連ねています。
じつをいうと、中国語の学習においてはこのグループの子音はかなり厄介な存在なのですが、その理由は、これらの子音は英語などの言語とも異なっている上に、他の子音との区別が難しいからです。しかしここでは英語の学習のためにピンインを借りているだけなので、あまり気にしないで大丈夫です。
ではこれらの子音をどうやって発音するのかというと、
まず、口をわずかに横に開きます。
そこから舌を丸めます。
丸めた舌は後ろに引き、口の中のどこにも触れていない状態にします。
この状態から発声をします。
すると、発声と同時に丸めた舌が伸ばされるような弾かれるような状態になります。
このときの巻き舌が解放されたような感じの音がRの音です。
このままいくつか発音してみましょう。
Right, Ring, Rice, Rest, Reel
どうでしょう?Lの子音の時とは違い、少し強めの音が出ているでしょうか?
中国語のzh ch sh rは、どれも口の形から「ジュ」「チュ」「シュ」「リュ」と発生した音で、Rの子音は、話す人によっては「ル」と「ジュ」の中間のような、カタカナでは表現できないような音となります(中国語地域によって大きな発音の違いがあるので教わった人によってだいぶ発音が変わってきます)。
まとめ
カタカナから出発するとどちらもラ行の子音であるために混乱しがちですが、中国語の子音のグループから出発すると、口の形からして全然違うということがお分かりいただけたでしょうか?
Lに関しては、D、T、Nという比較的発音しやすい子音と同じように発音ができ、Rに関しては元々の日本語のラ行の発音と似ているため、これだけでRとLの発音がやりやすくなるのではないかと思います。
この内容をまとめると
Lは、舌を上の歯ぐきに軽く当てるようなところから発生する子音で、
Rは、舌を口の中で軽く巻いたところから発声する子音。
ということになり、これは一般的に参考書などで書かれている内容と同じところに行き着くのですが、アプローチの仕方を少し変えるだけでも発音は改善できると思います。
これだけで急にLとRの発音が完璧になるかはわかりませんが、このようなアプローチの仕方もあるんだと思いトライしてみてはいかがでしょうか?