今回は、僕が実際に使ってみて困ってしまったVPSサービスの話をしようと思います。
それはServersMan@VPSというサービスです。僕はこのVPSサービスの価格が気に入っていてしばらく使っていたのですが、二点だけ不満というか残念な点があり、最終的に違うVPSサービスへ乗り換えました。
実際に使ってみた経験を踏まえた意見ですので、VPSでサーバー構築をしようと思っている方の参考になればと思います。
ServersMan@VPSで始めたウェブサイト運営
じつは僕自身が初めて使ったVPSもServersMan@VPSで、しばらくはここで二つのサーバーを動かしていました。
きっかけは長期休暇の時で、「自分のウェブサイトでも作ろう!」と思い立ったもののブログの構築とか運用に関しては何も知りません。初めてだし、いつ挫折するかわからないからあまりお金は使いたくない。なんて思いつつ調べているうちに「VPS」という選択肢があることを知り、VPSについて調べているうちにServersMan@VPSというサービスを知りました。
ServersMan@VPSの魅力はその価格にあると思います。
メモリ1G、CPU2コアというスペックながらで月額467円(税抜)という価格は非常に魅力的でした。
他のVPSサービスではメモリ512MBプランというのがありますが、正直メモリ512MBというスペックでサーバーを実行するのはかなり厳しいと思うので1GBメモリプランはいいなと思いました。
さらに、ServersMan@VPSは後からでもプラン変更をできるというのです。もしウェブサイトのアクセスが増えたりした場合にサーバーのデータを残したままスペックを増強できるというものです。
これは鬼に金棒だと思い、ServersMan@VPSでサーバーを立ち上げ人生初のウェブサイトを公開しました。しかし実際に使ってみると困った問題が二つありました。
問題点1: CentOS 7のパッケージが更新できない
一つ目は、CentOS 7をインストールした場合にサーバーのパッケージの更新ができない問題です。
yum(パッケージを更新するコマンド)を使うと、必ず以下のエラーが出ます。
Error: systemd conflicts with initscripts-9.49.17-1.el7_0.1.x86_64
セキュリティのことなんかも考れば最新版に更新できないだけでも不安ですが、新しいパッケージを導入することすらできません。
この問題に関しては、ServersMan@VPSも把握しているようです。
http://www-wp.dream.jp/search.php/?p=23141
この質問と回答を見ていると問題の発端は
過去のある時点でCentOS側でinitscriptというパッケージが更新され、この更新をインストールしたらVPSサーバーにアクセスできなくなった
ということのようです。
そしてServersMan@VPSが提供した対処策は以下の二つです:
- サーバーを再インストールする
- ServersMan@VPSに依頼して、initscriptを古いバージョンに戻す
そして問題が発生する原因は
仮想化プラットフォームとの相性が悪いから
としています。
そういえばServersMan@VPSのVPSはOpenVZという方式で、他の方式に比べるとリソースの有効利用はできる分、自由度が下がると聞いたことがあるので、それが影響しているのかもしれません。
そして問題を回避するための方法は、
設定ファイルをいじって、今後もinitscriptが更新されないようにする
だそうです。
提案された回避策を試したのですが、これをやると別のパッケージを更新するときなどに問題が発生します。また新しいパッケージを追加するときも問題が起きます。たとえばNode.jsを入れようとしても、initscriptが古いためにできないといわれます。
Linuxのパッケージは依存関係が芋づるのようになっていて、あるパッケージを入れるには別なパッケージが必要になり、依存パッケージにも必要な最低バージョンまで決まっています。initscriptを更新できないだけで、いろんなパッケージのインストールや更新に影響が出てしまうのです。
しかも、この問題が最初に発生してからかなりの時間が経っているのに根本的な解決策は提示されていないのも非常に残念な点です。
上のFAQも、問題が発生した当初の緊急対処策ならわかります。しかし初めて問題が発生してから2年以上経つのに根本的な解決策が出ないというのは、「CentOS 7は使えない」というメッセージとも受け取れます。
僕は結局CentOS 6でサーバーを再インストールしました。CentOS 6では同じ問題が発生しないのでそれをそのまま使うことにしました。
しかしCentOS 6のEOL(End of Life=サポート終了)は2020年11月です。その時期を過ぎればサポート終了した状態のまま使い続けることになります。
UbuntuなどのCentOS 7以外を使っていればこの問題はないのでしょうが、CentOSはかなりシェアも高いOSなので非常に残念です。
問題点2:プラン変更でIPアドレスが変わる
冒頭でも書いた通り、ServersMan@VPSのもう一つの魅力はプラン変更ができることです。
「メモリ1Gプランで手狭になってきたらメモリ2Gプランに切り替える」
というような柔軟な使い方ができるのd瀬宇賀、ここにも落とし穴がありました。
プラン変更は確かにできます。しかしプラン変更をするとIPアドレスまで変更になってしまうのです。
これはServersMan@VPSの会員にならないと見れないのですが、会員ページにログインしてプラン変更をしようとすると以下の文言が出てきます。
プラン変更のご注意事項
1.IPアドレスの変更
プラン変更するとIPアドレスが変更になるため、ご注意ください。
・・・
これはかなり想定外でした。プラン変更をしてもデータは失われないのですが、IPアドレスが変更になってしまうというのです。
IPアドレスが変更になるということは、ウェブサイトの運営においてはかなり厄介な問題です。なぜなら、プラン変更をするたびにDNSの更新をしなければならないからです。
また、サーバー内にIPアドレスを直に指定して行っていた設定項目もすべて更新しないといけません。しかも新しいIPアドレスはプラン変更をするまでわからないのです。だから必ずある程度のダウンタイムが発生することを覚悟しないといけません。
またこういう作業に慣れていない場合(普通の方はそうでしょう)、最悪ウェブサイトが起動せずトラブルシューティングをしている間に長時間のダウンタイムとなってしまう可能性もあります。
せっかくウェブサイトのアクセスが増えてきたからそれに対応するためにサーバーを増強するというのに、そのためにかえって長時間のダウンタイムを引き起こしてしまっては本末転倒です。
これをするくらいなら別のVPSを借り、そちらに既存のサイトのデータをすべて複製し、一旦両方のサーバーを稼働させた状態でDNSだけ切り替えた方が確実だと思います。
実際に僕はその選択肢を取りました。ServersMan@VPSと並行して別業者(ConoHa VPS)のVPSにサイトをコピーしてからDNSを切り替えたので、ダウンタイムはゼロでした。もっともダウンしても影響もない弱小サイトでしたが😅
まとめ
以上、ServersMan@VPSに魅せられてVPSにチャレンジしたものの、残念だと思った自分の体験談を紹介しました。
まとめると以下の2点です。
ポイント
- CentOS 7は相性が悪い
- プラン変更はできるがIPアドレスが変更になるので、ウェブサイトを公開している場合、単に再起動する以上のダウンタイムが発生する
- CentOS 6ならば問題はないが、サポート終了は2020年11月で待ったなし
すでに乗り換えてしまったので最新の状況はわからないのですが、もし無難にいきたいという方は、僕と同じConoHa VPSか、長い実績のあるさくらのVPSあたりをおすすめします。ConoHa VPSに関しては僕自身現在も使っていますが、1GBプランで複数サイトを運営してそれなりのトラフィックを普通にさばけていますし、勝手にシステムが落ちるようなこともないので非常におすすめです。現在701日連続稼働中なそうです。VPSはおもちゃみたいなイメージですが、なかなか侮れないですね。
01:20:09 up 701 days, 14:10, 1 user, load average: 0.01, 0.03, 0.05
あともう一点おすすめなのは、ConoHa VPSは全プランがSSDということです。なんだかんだいってディスクの読み書きがパフォーマンスに与える影響は絶大です。なので値段ばかりでなくSSDや安定性なども基準にVPSサービスを選ぶようにするといいでしょう。