ネットの世界では数々のスラングや省略語が存在し、日々新しい表現が生み出されています。
また、ビジネスの場においても数多くの略語は存在し、職場のメールや会話で頻繁に使われています。
今回はそうした略語のうち、特によく使われるものを紹介したいと思います。
頻出するビジネス英語の略語
TBC
To be confirmed = これから確認される、確認中
TBD
To be determined = これから決定される、検討中
TB = To Be ...
TBCもそうですが、TBで始まる略語は基本的にTo beを略していて、「今後〜される」という意味合いになり、最後に違う文字を入れて使われることがあります。
TBHとくれば、To be hired、つまり今後雇われるという意味になり、組織図などで新設の部署でまだ担当者が決まっていない欄に使われたりします。
これらの表現をすべて暗記しようとするのではなく、TBはTo beの略であることだけを覚え、最後にくる頭文字の意味を状況に応じて推測をすることができれば十分かと思います。
YoY
Year over Year
なんかピースサインの顔文字みたいな略語ですが、対前年比という意味です。
一般的に略語はそのまま頭文字を読むこと(例: TBD=ティー・ビー・ディー)が多いのですが、僕の限られた経験上では、これをワイ・オー・ワイとそのまま読んでいる人を見た記憶がないので、year over yearと普通に読むのがいいのでしょう。
たとえば前年度の決算や実績を発表するときに、前年比で売り上げ、収益率が%改善したか、経費を%削減したか、こういった数値を扱う時によく出てくる略語で、会社概要の資料やお偉いさんの発表でよく見られます。
FY
Fiscal Year, Financial Year = 会計年度
FYの後に年を続け、FY2019やFY19というふうに使い、FY19ならば「エフ・ワイ・ナインティーン」みたいに読み、これは会計上の2019年度ということになります。これもお偉さんの発表資料などでよく出てくる略語です。
Q1
QはQuarterの略で、Q1は第一四半期の意味。
Q2なら第2四半期という感じですね。読むときは「キュー・ワン」「キュー・ツー」という感じで読みます。
19Q1みたいに書けば、2019年度の第一四半期という意味になります。
1H / 2H
HはHalfの略で、ファーストハーフ・セカンドハーフと読み、その年の上半期・下半期の指します。
FY19 1Hといえば、2019年度の上半期という意味になります。
COB / COD / COP
Close of Business, Close of Day, Close of Play
どれも営業時間(就業時間)の終わりという意味。
「By COB today」といえば、今日の夕方までにという意味になりますね。
読み方は、そのまま頭文字を読むことも、普通に「close of ...」と読むこともあります。
似たような表現で、EOB、EOBというのがあります。これらはそれぞれEnd of Business、End of Dayという感じになります。
仕事なのにplay?
面白いのがClose of playで、これはイギリスでよく聞きました。仕事なのにplayとはどういうことなのかと思ったら、この語源はどうやらクリケットにあるそうです。クリケットは野球の祖先のようなスポーツですが、プレー時間が長く、イギリスらしくティータイムをはさんで1日がかりでプレーするものもあるそうです。そのため、Close of Playが一日の終わりというのはここから生まれたのではないかと思います。
ETA / EAT
Estimated Time of Arrival / Estimated Arrival Time = 予定終了時間
貿易の用語で貨物の到着時間という意味ですが、荷物だけでなく作業などの終了予定時間をあらわすときに使うこともあります。
HR
Human Resources
人事
FYI
For your information
参考までに。稀にJFYI (Just FYI)とすることも。
BR
Best Regards
「敬具」や「よろしくお願いします」的な意味で、メールの締めくくりに使う。
「最上級(best)のregardsといいながらそれを手抜きして略すとは何事だ」と冗談めいていっているイギリス人もいました。当の本人はいつもRegardsをRgds.と略していましたが(笑)
TOI
Transfer of Information
チーム内の情報共有のために行われるミーティングやセッション。
FAQ
Frequently Asked Questions
よくある質問と回答
e.g.
例(たとえば)の意。「イー・ジー」とそのまま読む。
ラテン語が起源。
i.e.
「つまり」とか「すなわち」の意。読むときはそのまま「アイ・イー」と読み、話し言葉で多用する人も。
ラテン語が起源。
w/
withの略。
プレゼン資料などで書くスペースが少ないときに使われることが多く、仕事外ではレストランのメニューなどでもよく見ます。
w/o
withoutの略。
ROI
Return on Investment
投資に対するリターン。「弊社のシステムを導入するとこんなにコスト削減!」みたいなマーケティング資料でよく出てきます。
ASAP
As soon as possible
できる限り早く。読むときは「エイサップ」と読むことが多い。
ASAPは要注意ワード?
ASAPは一見便利そうで気軽に使われる傾向にありますが、僕個人的にはかなり注意していて、本当に急いでいる時だけ使うべきだと思っています。
日本にも「なるはや」(なるべく早く)という言葉があり、なんでもかんでも「なるはや」といっておけば必要なものがすぐに出てくると考えている人たちがたくさんいます。しかし「本当に今すぐに必要なのか」「本当はいつまでに必要なのか」を考えている人は少ないように感じます。
しかし日本では「なる早」を是とする企業文化も多く、その様子が外国人には「物事の優先順位を付けられず、全部欲しい、いますぐ欲しいと喚くだけのわがままな幼児」と映ることもあるようです。
なのでこの言葉を使うときは、COB(上記参照)ではいけないのか? By the end of this weekではいけないのか、しっかりと考えるべきだというのが僕の個人的な意見です。
approx.
approximatelyの略。
おおよその数値を表す「約」という表現。
CEO / CxO
Chief Executive Officerをはじめ、社内の業務の最高責任者を指す。
「X」の部分にはExecutive以外にもFinancial (CFO)、Operating (COO)、Technology (CTO)などの言葉が入ります。
HQ
Headquarters
本社のこと。
会社によってはHQが地域ごとにある場合もある。
APAC
Asia Pacific = アジア太平洋地域
グローバル企業では地域ごとに事業を分割していることが多く、アジア太平洋地域を一つの地域とまとめている場合が多い。通常、日本はここに含まれる。
APJ(APAC + Japan)と読んで明確に日本を含む場合もあれば、APEJ(APAC except Japan)と言って日本を明確に除外する場合もあります。また中国本土を一つの独立した地域をしてみるかなど、企業の戦略によって分類方法が大きく変わります。
NA
North America = 北米地域
EMEA
Europe, the Middle East and Africa = ヨーロッパ、中東、アフリカをまとめて一つの地域に分けるときの呼称。
CALA
Caribbean and Latin America = 中南米地域。
ROW
Rest of World = その他の地域
上記のように世界を地域ごとに分類する文脈で使われ、上述のグループに含まれないような地域をこのように呼ぶことがあります。
N/A
Not applicable / Not available
該当なし
RSVP
「返信願います」の意。
フランス語のRépondez s'il vous plaîtという言葉から取られたそうです。
VP / SVP / EVP
Vice President / Senior Vice President / Executive Vice President
偉い人のこと。副社長という和訳がつけられるが、企業においては副社長というよりは役員や幹部というイメージ。
企業によって違うかもしれませんが、偉さ的にはEVP > SVP > VPという感じでした。
ネットで調べる習慣を
以上、広く使われていると感じたビジネス英語の略語を紹介しました。
もちろんこれ以外にもたくさんの表現がありますし、業界固有の略語も数多く存在します。
わからない言葉に遭遇したら、ネットで調べる習慣をつけておきましょう。
基本的にはGoogleで知りたい言葉を検索するだけなのですが、必要な情報にすぐにたどり着けないこともあるので、ここでは検索をするときのちょっとしたコツを紹介しましょう。
例として「SOW」という略語の意味を調べたいとしましょう。Googleで「SOW」と検索すると、SOWという名前の会社やお店が検索されたりして、必要な情報にたどり着けません。
そんなときは検索したい用語の後ろに以下のキーワードを追加してみましょう。全部のキーワードをつけなくても大丈夫です。上から順番に試して必要な情報にたどり着けない場合だけ2番目・3番目と試していきましょう。
- SOW acronym
- SOW meaning
- SOW abbreviation
- SOW stands for
するとどうでしょう?
以下のような感じで、「Free Dictionary」「Acronym Finder」「Abbreviations.com」などネットの英英辞書が上位に表示されます。
これらのサイトを見れば必要な情報にたどり着けるはずです。
ちなみに、 SOWという言葉だけでたくさんの定義が出てきました。
こんな場合、よほど特定の業界の用語を検索しているのでない限り、一番最初に出てきた定義から見ていきます。下の方に出てくる定義などは、おそらくほとんど誰も使っていないようなものなので無視しても大丈夫です。(SOWがSpeaking of Whichの略なんて今まで一度も聞いたことないです!)
ちなみに、SOWの最初の定義は「Statement Of Work」でした。これはIT業界でよく使われる言葉で、プロジェクトの作業や責任の範囲を明確にするために作成する書類です。
この意味が、読んでいる文章や会話の文脈から判断して明らかに違うと思う場合は、2番目以降の定義も見ていきましょう。それでも意図している略語が見つからないば場合、それは書き手の意図が明確ではない可能性が高いので、恥ずかしいことではないので、直接相手に聞いてしまいましょう。
このように、わからないと思った時にすぐに調べる習慣がついたらもはや怖いものなしですね!